水害と木材の耐久性

8月に入ったから西日本を中心に台風や大雨が続き、8月21日の未明には広島で大規模な土石流が発生。多くの犠牲者が出ました。心からお悔やみを申し上げますとともに、災害に強い国づくりをしていかなくてはと、改めて感じました。
日本は人口が減少に向かっているにも関わらず、危険な地域にも家が作られて来ました。住み慣れた家や地域を出るのには抵抗があることは理解できますが、空家率が過去最高となり、今後も増え続けることが予想される中、危険な地域の住民を、リフォームした安全な地域の家に引っ越すことを推奨するなどの策も必要かと思われます。
土石流で家が流されたり押しつぶされたりとまではいかなくても、河川の氾濫や局地的豪雨により床下浸水、床上浸水の被害は全国各地で起きています。過去に例が無い集中豪雨と報じられていますが、近年、毎年のように全国各地で異常な豪雨が発生しており、過去に例のない異常な現象が、毎年、梅雨から夏の恒例になりつつあります。
床上浸水で家の柱が水に浸かると、柱の下部の木口から大量の水分が木の中に入り込みます。昔の、天然乾燥で乾かしたスギやヒノキは油分を多く含んでいるので、水分の侵入をかなり防いでくれます。しかし、この油分は高温多湿の日本において、樹木が自分自身の体を腐れやシロアリから守るための成分なので、夏でも湿度が低く、シロアリもいない地域から輸入された木材は、当然、油分も少なく乾いたスポンジが水を吸うように、洪水で屋内に侵入した水を吸い取ってしまいます。床下浸水であっても、床下からの湿気は壁の中の木材に吸収されていきます。
しかも、最近の家は高気密・高断熱の追及により、壁の中の通風が悪く、一度濡れてしまった柱や間柱、筋交いなどは容易に乾きません。乾くのが先か、腐るのが先かの勝負です。中温、高温乾燥で油分の多くが失われた国産のスギやヒノキでも、まず乾く前に腐ることはないと思います。しかし元々、油分が無いに等しい外国の樹種は、朽ち果てるまでには至らなくても、腐朽菌により相当のダメージを受けると考えた方が良いと思います。家の寿命が半減すると言っても過言ではないと思います。
二階まで水に浸かるような大水害は滅多に無いでしょうから、二階の柱や小屋裏などにそのような樹種を使うことは大きな問題はないでしょうが、いつ、どこで床下、床上浸水が発生するかわからない今、やはり床下や一階の壁に使用する木材は国産材、それも出来れば有効成分や油分を残して乾燥させる天然乾燥や低温乾燥の木材を使いたいものです。